もっと素敵な写真が撮りたいという方へ
私はカメラサークルの幹事をしていますので、参加者の皆さんの写真を見る機会が多くあります。時にはプロの方が参加されることもあり、写真を見せてもらったり、アドバイスをもらうこともあります。
その中で、素敵な写真と微妙な写真の違いについて気づいたことをまとめました。(もちろん、皆さんの写真はどれも素敵ですが、ここでは説明しやすいように「素敵な写真」と「微妙な写真」という表現を使わせていただきます。)
また、これらの解説はあくまで個人的な見解ですので、間違いや気づいた点があればご連絡をお待ちしています。
皆さんが発見した「素敵な写真を撮るコツ」も、ぜひ教えてください!
素敵な写真とは?
まず結論から。“素敵な写真”とは…
「自分が良いと思った写真は、誰が何と言おうと素敵な写真」
と、プロの方が言っていました!私もそう思います。
なので、皆さん自由に好きな写真を撮ってください!
…というのは半分冗談です(笑)。
ここでの「素敵な写真」とは、第三者から見て「素敵だと思われやすい写真」と定義します。特に「カメラマン」ではなく「一般の素人の方」の評価が重要です。
というのも、カメラをやっていると「いかに綺麗に撮るか」ということばかりに意識が向いてしまい、一般の感覚からズレてしまうことがあるからです。
あなたの撮った写真を見返してみてください。拡大写真(クローズアップ写真)が多く、同じような写真ばかりが量産されていれば要注意です。だいぶ一般の感覚からズレてきているかもしれません。
素敵な写真を撮るための5ステップ
まず、上達のロードマップを示します。分かりやすいように「初心 → 初級 → 中級 → 上級 → プロ級 → プロ」の6段階に分けます。
カメラを始めたばかりの頃は、カメラの使い方を覚えることに必死だと思います。せっかく一眼カメラを持っているのに、スマホで撮った方が綺麗に撮れる時期が続いた経験は誰にでもあることでしょう。
ボタンや機能がいっぱいあって、わけのわからない用語ばかりで挫折する方も多いです。この時期は、ほとんどの方が「AUTO(自動)モード」で撮っています。また、キットレンズを使っていることが多く、思っていたような写真が撮れないことがほとんどでしょう。
「A or Av(絞り優先)モード」で撮ってみよう!
※屋外の撮影であれば、絞り優先モードを使用しましょう。(屋内など暗い場所では「S or TV(シャッタースピード優先)モード」を使用)
なんとなくカメラの使い方がわかってくる時期です。「A or Av(絞り優先)モード」で、ボケ具合を調整したり、露出補正で明るさを調整したり、少しカメラが楽しくなってくる時期でもあります。
一眼カメラを使っている感覚が出てきて、もっと上手に撮りたいという意欲も出てきます。他の人との写真の違いに疑問を持つ時期でもあります。特にボケ感。他の人の写真は、なぜあんなに背景がボケているのか? 玉ボケってどうやって撮るの?など、疑問を持つことでしょう。
「50mmのF1.8」という単焦点レンズを買ってみよう!
※多くのメーカーには「撒き餌レンズ」と呼ばれる、安くて高性能な単焦点レンズがあります。メーカーによってレンズのスペックが若干異なりますので、お使いのメーカーの「撒き餌レンズ」で調べてみてください。中古レンズでも十分なので、1本購入してみてください。
背景をボカすことが楽しくなってきている時期です。屋外など明るい場所での撮影なら、ある程度、綺麗に撮れるようになっているはずです。
その反面、思ったような写真が撮れないことへのストレスも溜まっているかもしれません。もっと綺麗に撮りたいのに、どうやって撮っていいのかわからない。他の人はどうやってあんなに素敵な写真を撮っているのだろう?という気持ちが強くなっているでしょう。
レタッチしてみよう!
※実は素敵な写真を撮っている人は、レタッチも上手です。「レタッチは邪道」というのは昔の考えです。昔はレタッチすることができなかったので、色々と試行錯誤して撮っていましたが、今は便利なツールがあります。レタッチによって、何倍も綺麗な写真に生まれ変わります。
おすすめはAdobe社の「Lightroom」。これを使いこなせると今の写真の10倍はパワーアップします。また、レタッチする際は“ローキー”と“ハイキー”を意識しましょう。
上級になると、安定してそれなりの写真を撮ることができるようになります。
構図などを気にして撮るようになったり、もっと面白みのある写真を撮りたいと思うようになっていると思います。
このレベルになると、多くの方が「近寄って撮る or 望遠で拡大して撮る」ようなクローズアップした写真が多くなっていることと思います。これは、余分なものが映り込まない方が、綺麗な写真に見えるからです。
しかし、クローズアップすると綺麗に見える反面、面白みに欠ける写真になりやすくなります。
広角で撮ってみよう!
※広角で撮ると、余分な物が映り込んだり、何を撮りたいのか主題がわかりにくくなります。そのため難易度が上がりますが、ストーリー性が生まれて面白みのある写真になります。
プロ級になると、色々な構図で撮ったり、ボケ感なども自由に調整できるようになります。また、より綺麗に撮れるように「フルサイズ」のカメラを購入したり、持ち運びしやすい「マイクロフォーサーズ」を購入したり、目的に合わせてレンズを数本購入していることでしょう。
この頃になると、撮りたいものをどうやって撮るかがある程度イメージでき、それによって持っていくカメラやレンズを選択します。
例えば、以下のような選択をします。
- カメラボディ
- モデルや花、動物など被写体をメインに撮影する場合や、暗い場所・・・フルサイズやAPS-C
- 明るい場所での風景撮影や記念撮影・・・マイクロフォーサーズやAPS-C
- レンズ
- 風景撮影・・・広角~標準の軽いレンズ
- 水族館・・・標準~中望遠の明るいレンズ(F値の小さいレンズ)
- 動物園・・・中望遠~望遠レンズ
- モデル撮影(屋内や接近しやすい場合)・・・標準~中望遠のF値の小さいレンズ
- モデル撮影(屋外や接近しにくい場合)・・・中望遠~望遠レンズ
たいていのものは安定して撮影できると思いますので、あとは特殊な撮影の経験を増やしていきましょう。
さらなる高みを目指して、シャッタースピードを遅くして撮影(長時間露光)してみよう!(三脚必須)
「S or Tv(シャッタースピード優先)モード」や「M(マニュアル)モード」を使って、シャッタスピードを変化させることで、暗い場所での撮影や特殊な撮影が可能になります。
例えば…
- 夜景を撮る
- 車のヘッドライトをレーザービームのように撮る
- 滝をそうめんのように撮る
- スポーツで躍動感がある瞬間を撮る(例えばボールを蹴っている足をブレさせる)
- 海を霧のように撮る
- 花火を撮る(バルブ撮影)
プロカメラマンは、認定機関や資格があるわけではなく、誰でも名乗れます。一般的には、カメラの仕事を生業にしている人や、有料で撮影を請け負っている人のことを指します。
ちなみに、プロカメラマンのほとんどが偏ったジャンルでの撮影を得意としています。例えば、スポーツや舞台撮影が専門だったり、スタジオ撮影が専門だったり…。お医者さんと似ていますね。外科や内科、歯科、眼科、整形外科とか…。
そして、それぞれのジャンルに、カメラ以外の知識や経験が必要になります。
例えば野鳥撮影は、鳥の生態を理解し、季節や天候、時間帯に合わせて、狙っている鳥が集まりやすいポイントへ行き、じっとその瞬間まで待機する必要があります。撮りに気づかれない工夫と忍耐が必要になります。カメラも、超望遠カメラや高性能な三脚が必要になります。超望遠での撮影は被写体をレンズに入れることが難しく、手ブレも激しいため難易度が高くなります。
話が逸れましたが、ここでのプロとは、一般の人がスマホで撮っているような写真を、一眼カメラを使って、さらに素敵に撮影できる人のことを指すことにします。
英会話に例えるなら、ビジネス会話などの偏ったジャンルではなく、普段の日常会話が上手な人のことを指します。
ライティングを研究してみよう!
カメラは光を撮る機械です。プロは撮影するときに、まず光を見ます。屋外のモデル撮影であれば、「光が舞っている場所を探す」という表現を使ったりします。
物撮りやモデル撮影をするときに、ライティング機材を使用して、光の研究をしてみましょう。「光の魔術師」と呼ばれる「イルコさん」の写真を見ると、ライティングの効果がわかりやすいと思います。
屋外で自然光で撮るときも、太陽の位置や強さを意識して撮ってみましょう。
例えば晴れの日に、空が真っ青に映ったり白っぽく映ったりするのは、”順光”や”逆光”が関係しています。